日本ではe-JAPAN戦略が2001年に発表され、IT革命による経済成長を目指し国家的な取り組みを進めてきましたが、国連経済社会局(UNDESA)による電子政府ランキングでは14位(2020年)に位置しており、前回2018年よりも4つ順位が後退。

 

民間においては、ビジネス環境の劇的な変化に対応するためにDX(デジタルトランスフォーメーション)による組織構造の変革に取り組む動きが活発になっていますが、少子高齢化が進みインフラ設備の老朽化といった社会課題を抱える現在の日本においては行政のデジタル化等、国家的な「デジタル変革」への取り組みが重要となります。

 

従来の産業構造がデジタルディスラプション(digital disruption)によって新たな社会的価値を創出する一方で、デジタル化に取り残された産業はその恩恵を受けることなく、衰退を余儀なくされてしまうことも少なくありません。

 

行政サービスのデジタル化を図る上でも「社会的包摂」を前提とした取り組みは非常に重要になると考えられ、IT基本法(高度情報通信ネットワーク社会形成基本法)の改正やデジタル庁の設立とともに国民の一人一人がデジタル化の恩恵を受けられる制度設計について様々な検証が必要となることでしょう。

 

シンガポールではデジタルIDシステムに顔認証技術の導入が行われているなど、海外のユースケースを参考に日本市場におけるデジタル技術への理解醸成を図ることも重要であると言え、技術的進化による社会的変革の実現に向けては、多くの人々が参画できる健全な市場形成とともに最新事例の検証/利活用への取り組みも欠かせません。

 

デジタル化が進展した社会においては、スマートフォンで本人確認や住民票の証明がいつでも瞬時に行えるようになり、データ個人主権の考えのもと自らの意思に基づいて行政や企業によるデータの利活用を決定できるようになります。

 

より快適で安全な社会システムの実現は、企業活動を促進し、国家運営をより効率性の高いものにするとされ、デジタル経済の進化による付加価値の高い業務の遂行等、デジタル化の恩恵をより多くの市民が享受できる制度設計の構築に向けて私たちは取り組みを進めてまいります。

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