近年では、フィジカル(現実世界)・サイバー空間を繋ぐIoT/AI技術の高度化によってあらゆる物事を最適化し、個別に細分化されていたデータ管理/流通をデータ連携基盤を駆使して統合する分野横断型の社会システムを構築する取り組みが各国で行われています。

 

データ駆動社会とは、フィジカル(現実世界)のデータをデジタル技術を活用し分析することで、新たな社会的価値を創出しようとする概念のことであり、その実現に向けては官民が協力してデータ連携基盤を構築し、データの相互運用によって社会システムの構造変化を促すことが重要であると考えられます。

 

一方、国際社会においては巨大IT企業によるデータ寡占が、大きな課題として認識が広がっており、米国連邦議会の公聴会においてはGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)による独占的な市場支配を危惧し、デジタルプラットフォーマーの分割を示唆する意見が述べられるなど、巨大IT企業の各事業を構造的に分離させ、データ活用の公正性を担保する「プラットフォーム・ユーティリティ(utility)」の考えもデータ駆動社会の実現に向けては重要になることでしょう。

 

法整備によってデジタルプラットフォーマーを規制する取り組みが各国において進む中、日本でもデジタル市場競争会議が「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律案(仮称)」を発表。

 

膨大な個人データの収集とデジタル技術の活用によって新たな社会的価値を生み出してきた巨大IT企業への規制によって、公正な競争が確保され透明性が担保された市場形成が進むことが予想されますが、日本経済や社会のさらなる発展に向けてはデジタル化に対応した競争政策の実現もまた重要であると言えます。

 

官民が共有したデータ連携基盤を活用し、行政手続きや企業活動といった様々な領域で市民(顧客)一人一人に最適化されたサービス提供を実現するためには組織体制の再構築が必要不可欠です。

 

私たちは、データ連携基盤の普及に向けて企業間での実証実験を実施し、中長期的な取り組みによって理解醸成を図ることを目指しています。

 

また、国際社会におけるデータ連携/利活用の動向を踏まえ、デジタルIDと連動した社会インフラの構築等、将来的なデータ駆動型の都市開発(スマートシティ)の実現可能性についても調査を進め、各産業分野を横断するより包括的な取り組みを実施してまいります。

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