日本ではデジタルサービスを前提とした社会システムが確立されていないことから書面での手続きが一般的とされてきましたが、社会環境の変化にともない政府・地方自治体によるデジタル化への取り組みが急務であるとされ、デジタル庁の創設や法整備が行われようとしています。
官民が共通して個人を識別できる「デジタルID」は、マイナンバーカードの普及とともに日本においても定着することが期待されましたが、行政手続きがデジタル化に対応していないことから国民がそのメリットを享受する機会は少なく、人口に対する交付枚数率は17.5%(2020年7月1日時点)にとどまっています。
すでに多くの民間企業が独自に個人認証システムを導入し、行政機関においても書面による業務が定着していることなどを背景に、取得が義務化されていないマイナンバーカードの普及率は低迷。
一方、近年では民間企業がFacebookの個人データを不正取得し、マイクロターゲティングを駆使した政治広告に利用していた事例も確認されており、データの主権を個人に取り戻すことを基本理念とする「データ個人主権」の実現に向けてはマイナンバーカードの普及が日本においては最重要課題であると考えられます。
マイナンバーカードの紛失による個人データの漏洩をはじめとしてデジタル化の安全性に懸念を抱く声もあり、国民が安心してマイナンバーカードの利活用を行える環境の整備が必要不可欠であると言えます。
・物理的手段(カード形態)からスマートフォンへの移行
・個人の意思/承認をもとに情報の提供を許可する制度の確立
・行政の縦割り制度の廃止とデータ連携基盤の活用
国民生活をより快適で安全なものにするためには、社会システムそのもののデジタル化による変革が必要となり、行政が民間とのデータ連携とデジタルIDの利活用を推進するためには法律解釈の整理や行政手続きそのものの見直しが重要であると考えられます。
私たちは、企業間での実証実験を通じてデジタルID/データ連携基盤の実現可能性を検証し、社会システムのデジタル化を率先して推進することで、日本を技術先進国として発展させる礎を築くことを目指しています。